大豆の栄養を促進する納豆菌

 良質のタンパク質が35%、脂肪分20%を含む栄養満天の大豆。
 しかしその大豆も生のままでは組織が固く、消化されにくいという欠点がありました。納豆は、この大豆の欠点を納豆菌による酵素分解の働きによって解消したうえ、タンパク質や炭水化物、脂肪分などといった栄養そのままに、独特の風味をもつ消化吸収の良い、優れた食品として仕上げられたものです。

ナットウキナーゼによる脳梗塞・虚血性疾患・老人痴呆症など、血栓疾患の予防

 須見洋行教授は、昭和63年の農芸化学学会で納豆中に強力な血栓溶解酵素があることを発見し、これを「ナットウキナーゼ」と命名しました。教授は健常な成人に、100g〜200gの納豆を食べてもらった後に採血し、血しょう中の血栓溶解活性を測定しました。その結果、2〜8時間にわたって血栓溶解活性が有意に上昇することを認め、納豆が血栓性疾患の予防に役立つことを示しました。

ビタミンKによる骨粗鬆症の予防

 骨粗鬆症を予防するためには、カルシウムだけを大量に摂取しても顕著な効果はなく、カルシウムを骨に結合させる『γーカルボキシグルタミン酸』という物質が必要となります。この『γーカルボキシグルタミン酸』を体内でつくるためには、ビタミンkがかかせません。ビタミンkは納豆菌によってつくられるもので、あらゆる食品のなかでも、納豆に最も多く含まれている栄養素の一つです。
 納豆の消費量が多い地域ほど大腿けい部を骨折する女性が少なく、逆に消費量の少ない関西地方の方が骨折の頻度が高いという『西高東低』の傾向がわかりました。

血圧降下効果

 血圧を上昇させる働きのあるアンギオテンシンを阻害することは、血圧の上昇を防ぐことにつながります。納豆の中には、このアンギオテンシンの働きを妨げる効果のあることが確認されています。

納豆菌の整腸作用

 納豆菌の腸内細菌に与える影響を見るため、豚やラットに納豆菌を加えた餌をあたえたところ、小腸の上部で乳酸菌群が増加したという報告がされています。

納豆の抗動脈硬化作用

 金澤武道助教授は、動脈硬化形成に重要なLDL(低密度リポタンパク質)の変化は、LDLの過酸化と分子サイズの増大であることを示しました。そこでヒト血管病の予防における大豆タンパク質の役割を調べるため、大豆タンパク質の投与が動脈硬化の形成と関係の深いLDLの過酸化並びに大分子LDLの産生を抑制するかどうかを検討しました。
 その結果ヒトにおいて過酸化LDLと大分子LDLが動脈血管に対して障害的に作用すること、また大豆タンパク質がLDLの過酸化及び大分子化を抑制することを確認しました。
 この結果から大豆タンパク質は、心血管病の予防ならびに血管障害の予防に優れた食物であることが示されました。

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